取引を記録する義務と帳簿の備えつけ
古物の取引には盗品などが紛れ込むおそれがあります。これを防止する観点から、前ページの「取引の相手方の確認と申告義務」同様に、古物商が古物の取引をする場合には取引内容を帳簿等へ記録する義務および帳簿を備えつける義務があります。
取引を記録する義務
古物商は、以下により古物を受け取り、または引き渡したときは取引を記録しなければなりません。
古物を売買する場合
古物を交換する場合
古物の売却または交換の委託の場合
取引を記録する場合には、以下の事項を記録しなければなりません。
取引の年月日
古物の品目及び数量
古物の特徴
古物を取引した相手方の住所、氏名、職業及び年齢
取引の相手方の確認のためにとった措置の方法
参考:「古物営業のルール-取引の相手方の確認と申告義務」
取引の記録は、以下のいずれかの方法でしなければなりません。
帳簿への記録
国家公安委員会規則で定める帳簿に準ずる書類への記録
電磁的方法による記録
取引の記録義務が免除される場合
相手方の確認義務同様に、取引の記録義務が免除される場合があります。
対価の総額が1万円未満の場合(ただし、一部の古物の場合を除く)は、売買どちらの記録も免除
売買の総額が1万円未満の場合には、取引の記録義務が免除されます。
ただし、以下の古物に関しては1万円未満でも取引の記録義務がありますので注意が必要です。
・自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部品を含む。ただし、ねじ、ボルト、ナットなどの汎用性の部品は除く。)
・テレビゲーム、パソコンゲーム等のゲームソフト
・音楽や映画のCDやDVD、レーザーディスクやブルーレイディスクなど
・書籍
一部の古物以外は、売却の場合だけ記録が免除
引渡しに限り取引の記録義務が免除される古物があります。以下の古物以外は、取引の記録義務が免除されます。
・美術品類
・時計、宝飾品類
・自動車(その部品を含む)
・自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部品を含む。ただし、総額が1万円未満の部品は除く。)
国家公安委員会規則で定める古物(自動車)を引き渡した場合
古物が自動車である場合は取引の記録事項のうち、相手方の住所、氏名、職業及び年齢が免除されます。自動車については独立した登録制度があり、相手方を特定することが可能なためです。
古物商自身が売却した物品を当該売却の相手方から買い取る場合
古物商が古物を売った相手から、古物を買取る場合などは取引の記録義務が免除されます。
帳簿の備えつけ義務
上記のように、古物商には取引の記録義務がありますが、記録した帳簿等の備えつけと保管の義務もあります。
取引を記録した帳簿等を備えつけて、記録した日から3年間保管する
古物が取引を帳簿等に記録したら、その帳簿等は営業所に備えつけて3年間保存しなければなりません。書面で保存されていない場合、例えばパソコン内部や外部メディアなどに記録している場合は、必要が生じた際には直ちに印刷して書面にできるようにして保管しておく必要があります。
帳簿等を失くしたら警察署に届け出る
古物商は、帳簿等または電磁的方法による記録を毀損し、もしくは亡失し、またはこれらが滅失したときは、直ちに営業所の所在地の所轄警察署長に届け出なければならないとされています。